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マネー(金融)リテラシーが高い人の投資行動

「日本国民の金融リテラシー向上」を、この仕事の最たる目標に掲げている(少しオーバーに聞こえるかもしれませんが)日々、セミナーや個別相談で「知識が無いんで」「まったく初めてなので」と、お金の運用に尻込みされる方の言葉を、私はたくさんお聞きします。

今回は、そもそもマネー(金融)リテラシーって何なんだ?と考えることから始めましょう。

■マネーリテラシーが高い人ってどんな人?
まず、「リテラシー」を検索してみると、Wikipediaでは「なんらかの分野で用いられている記述体系を理解し、整理し、活用する能力」と出てきます。

マネーリテラシーに置き換えても、特に絶対これだと決まった定義が無いので、私の独断で言うと「貨幣価値の最低限の知識を持ち、感情に流されずに、お金の管理ができる人」といったところでしょうか。

筆者のもとを訪れるのは多くが投資初心者ですが、投資経験がないからといってリテラシーが低いとは限りません。また逆に投資経験が10年以上ある方でも、ずいぶんとリテラシーの低い方も見てきました。

本題の調査についてみてみましょう。
関西大学ソシオネットワーク戦略研究機構構(The Research Institute for Socionetwork Strategies:以下 RISS)が、一般の人々5370人から回答を得、「日本人の投資行動調査」を発表しました(2019年4月19日発表)。
それによると、金融知識がある人ほど、長期投資において投資信託の保有に積極的であることがわかりました。

同調査では、「インフレーション」「分散投資」にまつわるクイズと、「長期投資に最も向く資産は?」の問いを並行して行い、その結果をまとめています。
結果はクイズの正解率が、高い人(マネーリテラシーが高い人)と低い人(マネーリテラシーが低い人)では、長期投資に向く商品の回答に歴然とした差がありました。(図参照)

RISS「日本人の投資行動調査」(2019年4月)より

リテラシーの低い人ほど、長期運用に向くのが「現金・預金」だと回答しているのに対して、リテラシーの高い人は「投資信託」と回答しています。
流動性が最も高く、ペイオフの対象金額内であれば元本損失のない預金よりも、わざわざリスクのある投資信託を選ぶこの傾向から、長期にわたる運用期間においてインフレーションのリスクを、リテラシーの高い人は理解しているのだと読み取ります。

■貯蓄と投資信託、どっちがトク?
資産運用といっても、目的によって選択するべき商品が大きく異なります。
自分の老後のための資産運用であれば、20~40年といった長い時間をかけて運用する「長期運用」になりますし、教育費のための運用であれば10~20年といった「中期運用」になります。
また余力資金で手早く利益を確定しながら、短期で運用する方法もあります。

目的に見合った運用商品を選択するのはとても大事なことなのですが、残念ながらその教育を、幼少時代から学校で習う事がほとんどない日本では、多くの人が運用商品の性質や、仕組みを理解した上での商品選択ができていません。

「預金と投資信託、どっちがおトクですか?」このような質問は、まさにリテラシーの低さを象徴するものです。
金融商品における「おトク」度合を測る場合は、同じカテゴリーの商品でかつ同じ運用期間でしか比較できません。そもそもカテゴリーの異なる銀行預金と投資信託では、比較のしようなどありませんし、運用成果は結果論ですので、「予言」することは不可能なのです。

■最後に笑う、長期運用のポイント
長期運用は、「時間をかけて分散投資を行う事で、リスクを抑えながらリターンを得る」手法です。運用期間中に評価額がマイナスになる事も、一時的には(とくに投資初期の期間は)起こり得ることですが、目の前の評価額が下がったことを悲観してはいけません。

運用の成果は「最後(売却の際)に購入した額よりも高く売れれば」いいのですから、基準価額や価格が下がった際は、むしろ安値で買えるチャンスだという理解が無ければなりません。
冒頭で私は、「感情に流されずに運用ができる」という点を、リテラシーが高い人の条件に入れましたが、それはまさにこのような状況下での判断を指します。

「終わりよければすべて良し」という言葉は、まさに長期運用の為にあるようなものです。時間をかけてコツコツ買い増す運用手法を「ドルコスト平均法」と言いますが、投資初心者の長期運用にはこの運用方法がオススメです。

調査結果から分かる通り、マネーリテラシーを高めることは、正しい商品選択ができることにつながります。長期運用にはポイントをおさえた投資信託を活用し、結果的にはリテラシーの低い人よりも上手に資産運用をすることができそうです。

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